芋吹きの仕方

基礎知識編

おもとの葉は2年間保ち、3年目には枯れて落ちるのが普通である。時には3年間も保つことがあり、これを3年葉と言っております。3年目に枯れて落ちた部分が「芋」となります。芋の両側に出来る芽(アタリ)は親についたままでは、全部が発芽するものではありません。そこでこのアタリを芋、根と共に切り取って一本のおもとに仕立て上げる事を「芋吹き法」といっています。 アタリが首(葉の茎部)に有るのを「首アタリ」といい、二つのアタリだ切った芋が一つが発芽して一つが残ったとき、残ったアタリを「2代アタリと呼んでいます。翌年同じ方法で吹かせることが出来、吹きあがった芋吹きを「二代吹き」と呼んでいます。 また、一つの芋の両側から吹いたものを「双吹き:そうぶき」または、「奴吹き:やっこぶき」と呼ばれています、同じ側から重なってまたは、並んで出たものを「夫婦吹き」と呼んでいます。 芋吹き法は、おもとの培養の中で最も興味があり、一面一寸難しい技術でもありますが、ベテランの方々は下記の目的で芋吹きを行っております。

イ) 強健で愛嬌の良い苗を作る
ロ) 適度に切れば、親木は新根をおろし、かえって発育が良くなる
ハ) 親芋に故障があれば発芽しないが、吹き上がった芋吹きは、誰にでも作れる
ニ) 以上の点から、割り子よりも高価に取引されている

1) 芋切りの時期
  春の植え替えのときに行います。芋吹きだけについて言えば、アタリが動きかけた頃、4月中旬頃が敵期です。あまり遅くなると親木の成長に影響しますので、親木の植え替え期に一緒に行うのが普通です。

2)アタリの大小と位置の関係
  アタリの大小が発芽率と大きな関係を持っております。丸みがあり艶の有るアタリは良く発芽します、反対に扁平なアタリ、艶のないアタリ、三角形状に尖ったアタリは発芽しにくく、また、葉の茎部にあるアタリほど発芽力が強く、首から下に下がる程、発芽力は弱くなります。 言い換えますと、アタリは古いものより新しいアタリの方が、発芽力が強いと言うことになります。

3) 親木と芋の関係
  芋吹きはおもとを増やすのが目的ですから、芋を切った為に親木の出来が著しく悪い様では意味が有りません。その為には、必要以上に芋や根を切り取る芋に付けない事です。一般的には4才木、つまり5作目になる時に初めて芋を切ります。4作目の時にも切れますが、1年遅らせれば、以降、毎年無理をせずに芋が切れる上に、芋を切った為に親木の出来が落ちないですむからです。

4) 品種との関係
  品種によっては子出しの良いものがあります。子出しの良い種類(日月星系統、根岸の松、富士の雪など)はあまり芋を切らない、反対に子の出にくい品種(千代田の松、錦麒麟、玉獅子の虎など)は芋吹きにした方が良い。

イ) 薄葉系統はだいたい割り子が良く出る。芋吹きにする場合は、大きなアタリを選び根を多く、芋を大きくする必要が有ります。
ロ) 羅紗地系統は、子も上がるが芋吹きも良く吹き、アタリが充実していれば、芋が小さく根が少なくても良く発芽します。
ハ) 胡麻班系統は、親木に芋、根を十分残すことが肝心で、あまり無理をすると胡麻班を悪くします。また、アタリや芋の小さい芋吹きは発芽率がよくありません。

5) 草勢とアタリおよび芋との関係
  若木の芋はアタリや芋が小さく、根が少なくても良く発芽しますが、老木の芋は発芽しにくいので、大きなアタリを選び、芋を大きく、根を多くする必要があります。

6) アタリの位置と根との関係
  一般的には前述のようにアタリは上部のものほど勢力があり、下部のものほど力が弱いのですが、アタリの真下に根があるときは、そのアタリがよほど小さくても良く発芽します。

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